パートナーから誘われても、最近はセックスになると気が進まない。以前は楽しめていたのに、今は「したい」と思うことが減った。あるいは、性的なことを考えたり自慰をしたりすることはあっても、誰かとセックスしたいとは思わない。
そんなとき、「性欲がなくなったのかな」と理由が気になることがあります。パートナーがいるなら、「相手への気持ちが冷めたのかな」と考えることもあるでしょう。
この記事では、「したくない」と感じる場面や負担の中身を見ながら、今の自分は何を避けたくて、どんな時間や触れ合いなら心地よいのかを整理します。
「セックスしたくない」と感じるのは、どんなとき?
「なぜしたくないのか」を探す前に、どんなときに「したくない」と感じるのかを具体的にすると、自分の状態を捉えやすくなります。
たとえば、
- 疲れている日や、翌朝が早い日だけ気が進まない
- 以前は楽しめていたのに、ここ最近はしたいと思わない
- 誰かとのセックス全般ではなく、今のパートナーとのセックスに気が向かない
- 特定の相手に限らず、今は誰かとセックスすること自体を望んでいない
同じ「セックスしたくない」でも、そう感じる状況は人によって違います。
今日だけ気が進まないのか、しばらく同じ感覚が続いているのか。特定の相手とのときに強く感じるのか、相手にかかわらずセックスそのものを求めていないのか。
こうした違いを見ないままだと、「性欲がなくなったから」「相手を好きではなくなったから」と、一つの理由で説明したくなることがあります。まずは、どんなときに「したくない」と感じるのかを見ると、自分は何に気が進まないのかをもう少し細かく捉えられます。
性欲があることと、誰かとセックスしたいことは同じ?

「セックスしたくないなら、性欲がないのだろう」と考えることもあります。ただ、性的な欲求があっても、それが必ず誰かとのセックスにつながるとは限りません。
こうした違いを考えるうえで参考になるのが、性的欲求を「誰かとの性的な活動への欲求」と「一人での性的な活動への欲求」に分ける考え方です。2023年に『日本性科学会雑誌』に掲載された性的欲求インベントリー2(SDI-2)日本語版に関する研究でも、この二つを分けて測定しています。
このように考えると、「性欲があるか、ないか」の二択では捉えにくい状態も見えてきます。自慰はしたいけれど、誰かとのセックスには気が向かない。
反対に、自慰を含め、今は性的なこと自体をあまり求めていない。どちらも同じ「セックスしたくない」という言葉だけでは区別できません。
自分で性的な快感を得ることは求めているのか。誰かと性的な時間を過ごしたいのか。それとも、今は性的なことから少し離れていたいのか。何を求めていて、何には気が向かないのかをそれぞれ見ていくと、自分は何をしたくないのかが、もう少し具体的になります。
セックスの何が負担になっている?

「したくない」と感じる理由は、一つとは限りません。セックスそのものではなく、特定の行為や、セックスをするまでの状況が負担になっていることもあります。
疲れていて、セックスに気持ちを向けられない
仕事や家事を終えたあと、今日はもう眠りたい。普段なら楽しめることでも、疲れている日はセックスに気持ちを向けたくないことがあります。
疲れているときだけ気が進まないのか、休んだあとも「したくない」と感じるのかによっても、今の状態は違います。
行為の一部に気が進まない
キスは好きだけれど、特定の触れられ方は苦手。愛撫は心地よくても、挿入はしたくない。裸や感じている姿を見られることに落ち着かなさがある。
こうした一部分への抵抗があっても、何が嫌なのかを細かく考える前は、まとめて「セックスしたくない」と感じることがあります。
セックス全体を避けたいのか、特定の触れ方や行為になると気持ちが引くのか。その違いが分かると、「セックスが嫌」という一言では表しきれなかった感覚も見えやすくなります。
痛みや身体の不快感がある
挿入時に痛い、触れられると違和感があるなど、身体の不快感があれば、次のセックスにも気が向きにくくなることがあります。
性交痛には複数の身体的な原因が関係することがあります。痛みが続く、強くなるなど気になる状態があるなら、「気持ちの問題」「相性の問題」で片づけずに、婦人科などで相談することも選択肢です。
相手の期待を気にしてしまう
「恋人や夫婦なら、求められたら応じるもの」と自分の中で考えていると、相手が何も言っていなくても、セックスになりそうな場面を負担に感じることがあります。
一方で、実際に断ると責められる、何度断っても求められるなど、嫌だと言いにくい状況があるなら、それを自分の性欲だけの問題として扱うことはできません。
恋人や夫婦であっても、性的な行為はその都度お互いの意思を確かめるものです。「したくない」と伝えること自体が難しいときの考え方は、「セックスを断りたい。でも、相手を傷つけたくなくて言えないときに」で詳しく扱っています。

セックスはしたくなくても、スキンシップはしたい?
セックスはしたくない。でも、手をつないだり、ハグをしたり、一緒に眠ったりすることは心地よい。性的な行為と、それ以外の触れ合いでは感じ方が違う人もいます。
反対に、今はハグやキスを含め、身体に触れられること自体を避けたい場合もあります。「セックスをしたくない」と、身体に触れられること自体を避けたい気持ちも、同じではありません。
一つの性的な行為への同意は、別の行為への同意を意味しません。ハグはしたいけれどセックスはしたくない、キスはしたいけれど今日はその先を望んでいない、といった希望もそれぞれ別に扱えます。
「触れられたい/触れられたくない」の二つだけで考えず、自分はどんな触れ合いなら心地よいのかまで見てみると、今求めているものが分かりやすくなります。
「このままセックスレスになる?」と気になるとき、何が不安?

今はセックスをしたくない。でも、このまま性生活がなくなったら、ふたりの関係まで変わってしまうのだろうか。そんな別の不安が出てくることもあります。
ただ、「今はセックスをしたくない」という気持ちと、「セックスがない関係になったら困る」という不安は別のものです。
セックスが減ることで、相手との関係まで変わってしまいそうなのが不安なのか。パートナーはもっとセックスをしたいと思っていて、希望が合わなくなることが心配なのか。「夫婦や恋人ならセックスをするもの」というイメージと比べて、自分たちの状態が気になっているのか。セックスレスという言葉に引っかかっていても、その理由は同じではありません。
相手が性生活に何を求めているかは、自分の希望とは別にあります。ふたりで望む頻度が違うなら、回数の差だけでなく、その違いをお互いがどう感じているのかも関わってきます。
ほかのカップルと比べてセックスの回数が多いのか少ないのかが気になる場合は、「セックスの頻度に『普通』はある? ふたりの違いが気になるときに」でも詳しく扱っています。

今の自分は、セックスとどんな距離でいたい?
「なぜセックスしたくないのか」がはっきりしなくても、今の自分は何をしたくなくて、どんな過ごし方なら心地よいのかを考えることはできます。
今日はしたくないのか。しばらく誰かとのセックスをしたくないのか。特定の行為だけが負担なのか。セックスは望まなくても、スキンシップや一緒に過ごす時間は大切にしたいのか。
「セックスしたくない」という一言だけで捉えず、したくないことと、心地よいと感じることをそれぞれ見ていくと、今の自分が望んでいる過ごし方も少しずつ分かってきます。
