ひとりで性的なことを考えていると、なぜかいつも同じような場面を想像する。でも、誰かに「どうするのが好き?」「どうされたい?」と聞かれたら、とても口にはできない。
「性癖を言えない」とき、引っかかっているのは好みそのものだけとは限りません。自分でもその好みに戸惑っているのか、誰かに知られるのが嫌なのか、実際にはしてみたいのに言えないことが困っているのか。
この記事では、自分は何を好きだと感じ、それをどこまで現実にしたいのか、誰かと共有したいのかを整理していきます。
性癖を言えないとき、何がいちばん気になる?
「性癖」と聞くと、特別なプレイや珍しい好みを思い浮かべる人もいるでしょう。でも、自分が人に言えないと感じているものが、そこまで明確になっているとは限りません。
特定のシチュエーションを想像するのが好き。ある服装や言葉に惹かれる。相手との役割や、いつもとは違う雰囲気に興味がある。「性癖」というより、「フェチ」「好み」「ちょっと気になること」と呼ぶほうがしっくりくる場合もあります。
そして、同じ「言えない」でも、困っているところは人それぞれ違います。
自分でも「どうしてこれが好きなんだろう」と思っている。好み自体は受け入れているけれど、人に知られるのは嫌。好きな人に「何が好き?」と聞かれても、引かれるのが怖くて答えられない。あるいは、実際にしてみたいことがあるのに、相手に言い出せずにいる。
まず考えたいのは、性癖の内容よりも、その好みについて何が気になっているのかです。
「こんなことが好き」と思う自分に戸惑っている?

誰にも話していないのに、自分の性癖を思い出すだけで恥ずかしくなることがあります。
「こんなことで興奮するのは変なのかな」「ほかの人はこんなことを考えないのでは」と、自分の好みを自分で気にしている状態です。
性的な好みは人と比べる機会が少ないため、自分の中にあるものだけが妙に目立っているように感じることもあります。「人には言いにくい」と思ううちに、自分でもその好みを「変わったもの」「隠しておくもの」と受け取っている場合もあるでしょう。
一方で、自分ではその好みを特に嫌だと思っていなくても、人に知られたあとの見られ方が気になることもあります。
そんな一面があると思われたくない。今までと違う目で見られそう。一度話したら、いつもそれを求めていると思われるかもしれない。好みそのものを否定されたくないというより、ひとつの性癖から自分全体を判断されることが嫌なのかもしれません。
性癖だけでなく、性的な欲求を知られることや、感じている自分を見せること全体に恥ずかしさがある場合は、「セックスが恥ずかしい。感じている自分や欲求を見せることに戸惑うときに」でも詳しく扱っています。

自分自身がその好みに抵抗を感じているのか。それとも、自分は平気だけれど誰かに知られることが怖いのか。ここが違えば、「言えない」と感じる理由も変わってきます。
好きなことと、実際にしてみたいことは同じ?

ある場面を想像すると興奮するからといって、現実でも同じことをしたいとは限りません。
空想として楽しむのは好きだけれど、自分が実際に経験したいわけではない。見るのは好きでも、自分がそこに混ざりたいとは考えていない。一度くらい試してみたい気持ちはあるけれど、普段のセックスに取り入れたいほどではない。
反対に、「いつか相手とやってみたい」と思いながら、ずっと言えずにいることもあります。これらをすべて「私はこれが好き」でまとめると、自分でも何を望んでいるのか分かりにくくなります。
想像するのが好きなのか。見るのが好きなのか。自分でもしてみたいのか。誰かにしてほしいのか。
たとえば、自分の中だけで楽しむ空想なら、誰かに伝える場面そのものが必要ではないこともあります。一方、実際にしてみたいことなら、「知られたくない」という気持ちと「やってみたい」という気持ちの間で迷うこともあるでしょう。
性癖を言うかどうかの前に、自分がその好みをどこまで現実にしたいのかが見えてくると、何に迷っているのかも具体的になります。
誰かに話すとしたら、何をわかってほしい?

「性癖を誰かに話したい」と思うときも、求めていることは一つではありません。
自分にはこんな好みもあると知ってほしい。否定せず、「そうなんだ」と聞いてほしい。自分だけが話すのではなく、相手が好きなことも知りたい。あるいは、パートナーとのセックスで実際に試してみたい。
「知ってほしい」と「してほしい」は、似ているようで違います。
たとえば、好きな人に自分のことをもっと知ってほしくて性癖を話したいだけなら、聞いたあとに何かをしてもらうことまでは求めていない場合があります。反対に、具体的にしてほしいことがあるなら、「こういうのが好き」と話すだけでは、自分がどこまで望んでいるのか、相手に伝わらないこともあります。
本当はパートナーと試してみたい。でも、自分から「してみたい」と言い出せないときは、「セックスに誘えない。自分から『したい』と言えないのはなぜ?」も参考にしてみてください。

そもそも、誰かに知ってほしいとは思っていない人もいます。性的な好みだけは自分の中に置いておきたい。恋人やパートナーがいても、そこまで共有したいとは思わない。
「言えないから困っている」のか、「本当は言いたくないのに、言ったほうがいい気がしている」のかでも、迷いの中身は変わります。
性癖を伝えることと、一緒にすることは同じ?
パートナーに「こういうことが好き」と話すことと、実際に二人ですることも別の話です。
相手が性癖の話を聞いてくれたり、「そういうのが好きなんだね」と理解してくれたりしても、その行為を自分もしたいと思うとは限りません。逆に、相手から性癖を打ち明けられたときも、好みとして受け止めることと、自分が応じることは同じではありません。
二人とも「試してみたい」と思った場合でも、実際にやってみると「思っていたのと違う」「これ以上はしたくない」と感じることもあります。最初の希望や同意が、その後のすべての行為への同意になるわけではありません。
性癖は、誰かに言わなければいけない?
人には言わず、自分の中だけで楽しんでいる性的な好みもあります。誰かに話したい人もいれば、信頼している相手にも話さずにいたい人もいます。
一方で、本当はパートナーと試してみたいのに、引かれることが怖くて言えず、そのことがずっと気になっているなら、「自分だけの秘密にしておきたい」とは少し状況が違います。
誰かに好みを聞かれて、すぐに答えられるようになることがゴールではありません。
自分はその好みを想像の中だけで楽しみたいのか、誰かに知ってほしいのか、実際に試してみたいのか。それぞれを分けてみると、言えないことの何が気になっているのかも具体的になります。
何を知られるのが嫌で、何を自分の中だけに置いておきたいのか。反対に、誰かと共有したいものはあるのか。そこまで整理できると、「言うか、隠すか」の二択ではなく、自分がその好みとどう付き合いたいのかを考えやすくなります。
