体型にコンプレックスを感じる。自分の身体と心地よく付き合うには

窓辺で風にふくらむ白いカーテン

鏡や写真に映った自分を見て、「こんな体型だったかな」と少し落ち込む。着てみたい服があっても、身体のラインが気になって手に取るのをためらう。親しい相手の前で裸になると、相手の視線ばかりが気になってしまう……。

体型にコンプレックスがあると、「痩せたら、今ほど体型を気にしなくなるのかな」「もう少し自分の身体に自信をもちたい」と考えることがあります。

けれど、本当に困っているのは、体重や身体のラインだけでしょうか。

着たい服を諦めること。写真に写るたびに自分の身体を確認してしまうこと。親しい相手と過ごしていても、「どう見えているんだろう」と考えて、その時間に集中できないこと。

「体型が嫌」という言葉の中には、身体そのものへの不満だけでなく、体型を気にして諦めたり避けたりしていることや、人からどう見られるかへの不安も含まれています。

この記事では、体型コンプレックスをどう克服するかを考える前に、まず、自分は体型のどこが気になり、どんな場面で困っているのかを整理します。自分の身体を好きになることだけを、最初からゴールにはしません。

目次

体型コンプレックスは、身体そのものだけの悩み?

木のテーブルに畳んで置かれた白いリネンと巻尺

体型コンプレックスというと、体重や身体の大きさを気にすることを思い浮かべるかもしれません。けれど、実際に気になるものは、人によってさまざまです。

鏡に映ったときの自分の身体つきが気になる。服を着たときの見え方が好きではない。以前より体型が変わったことに戸惑っている。裸になったときだけ、自分の身体を見られることに抵抗を感じる。

周囲からは「そんなことないよ」と言われても、自分自身にとっては大きな悩みになることがあります。

また、自分の身体そのものが嫌なのではなく、着たい服を選べないことや、誰かに身体を見られる場面で落ち着かなくなることを、まとめて「体型コンプレックス」と捉えている場合もあります。

体型のどこが気になるのか。それとも、体型を意識することで何かを避けたり、楽しめなくなったりしているのか。そこを分けて考えると、「自分の体型が気になる」という言葉の中身が少し見えやすくなります。

体型の何が気になっている?

自分の体型が気になったり、嫌だと感じたりするときは、身体全体をひとつのかたまりとして捉えやすくなります。

鏡を見るたびに気になる部分が目に入り、「もう全部嫌だ」と感じることもあるでしょう。

けれど、もう少し細かく見ていくと、身体のすべてが同じように気になっているわけではないことがあります。

気になっているのは、体重・見え方・以前との変化?

たとえば、体型への悩みには次のようなものがあります。

  • 体重が増えたことや、服のサイズが変わったこと
  • 身体の一部の形や大きさ
  • 身体のライン
  • 服を着たときの見え方
  • 裸や下着姿になったときの見え方
  • 写真や動画に映った自分
  • 以前の自分から変わった部分
  • 周囲の人との違い

「自分の体型の全部が気になる」と感じていても、服を着ているときはそれほど意識せず、裸になったときだけ抵抗が強くなる人もいます。反対に、自分で裸を見ることよりも、服を着たときに身体のラインが出ることが気になる人もいます。

体重が増えたことそのものより、昔着ていた服が入らなくなったことにショックを受けている場合もあるでしょう。体重は変わっていなくても、写真に映った自分が以前とは違って見えることもあります。

何が気になるかによって、求めている変化も違います。

体重を減らしたいのか。気になる部分を目立たせたくないのか。今の体型でも着たい服を選べるようになりたいのか。そこを分けて考えてみると、自分は何を変えたいのかが見えやすくなります。

どんな場面で困っている?

体型へのコンプレックスがあっても、毎日のあらゆる場面で同じように気になるとは限りません。

服を選ぶときに強く意識する人もいれば、温泉やプール、更衣室など、身体を人に見られる場面で気になる人もいます。恋愛や性的な場面で、自分の体型を強く意識する場合もあります。

たとえば、次のような困りごとが考えられます。

  • 着たい服より、体型を隠せる服を選んでいる
  • 試着室で鏡を見るたびに気持ちが沈む
  • 写真に写ることや、撮った写真を見ることを避けている
  • 人前で食事をすると、食べる量と体型の関係が気になる
  • 体型について話題にされることが怖い
  • 裸や下着姿を相手に見られたくない
  • 水着や身体を見られる可能性がある予定を断ってしまう

こうした場面で感じているのは、「体型が気になる」という気持ちだけではないことがあります。

人から体型を評価されるかもしれない緊張。自分でも見たくないと思っている姿を、鏡や写真で確認するつらさ。相手の視線が気になり、触れ合いに集中できない落ち着かなさ。

着たい服を着られないことに困っているのか。人に身体を見られることへ身構えているのか。誰かとの時間よりも、自分の見え方ばかり気にしてしまうことがつらいのか。

同じ体型コンプレックスでも、何にいちばん負担を感じるかは違います。たとえば、本当に困っているのが、体型について何か言われることや、触れ合いに集中できないことなら、体重を減らすだけでは残る不安もあります。

体型の何を変えたいのかだけでなく、体型を気にすることで何ができなくなっているのか。その両方を見ていくと、自分が求めている変化を考えやすくなります。

自分の体型を、何と比べている?

窓辺のテーブルに置かれた真鍮の天秤

体型が気になるとき、見ているのは「自分の身体だけ」とは限りません。

過去の自分や身近な女性、SNSや広告で見かけた人の体型、「女性ならこう見える方が魅力的」というイメージと、自分を比べていることがあります。

昔の自分と比べれば、変わった部分が気になる。誰かと比べれば、自分に足りない部分があるように感じる。同じ身体でも、何と比べるかによって、目につくところは変わります。

以前の自分が基準になっているとき

体型へのコンプレックスは、周囲の人と比べたときだけ強くなるわけではありません。以前の自分が基準になっていることもあります。

昔着ていた服が似合わなくなった。体重は大きく変わっていないのに、身体のラインが以前とは違って見える。写真に写った自分を見て、年齢や生活の変化を感じた。そんなときは、今の身体をそのまま見ているというより、「前と比べて、どこが変わったか」を確認しているのかもしれません。

「前はここまで気にならなかった」
「昔は着たい服を選びやすかった」
「年齢を重ねても、もう少し今までの体型を維持できると思っていた」

身体が変わったことだけでなく、自分が想像していた年齢の重ね方と、現在の姿が違うことに戸惑っている場合もあります。

また、比べている「以前の自分」が、いつの自分なのかも考えてみたいところです。

体重が最も軽かった時期。運動を続けていた時期。食事や体型の管理に時間をかけられた時期。偶然きれいに写った一枚の写真。過去の中でも、特に自分が好きだった状態だけを基準にしていると、今の身体は「そこから変わってしまったもの」に見えやすくなります。

以前の体型に戻りたいのか。それとも、今の身体で着られる服や、楽しめる過ごし方を見つけたいのか。以前の体型に戻りたい気持ちと、今の身体のままでも楽しみたい気持ちが、重なっていることもあります。

誰かの身体や「女性らしさ」が基準になっているとき

SNSや広告、雑誌などでは、理想的とされる体型の写真を目にする機会があります。身近な友人や同年代の女性と、自分を比べることもあるでしょう。ただ、自分が理想としている体型を細かく見ていくと、特定の誰かを目指しているとは限りません。

細い方がきれい。けれど、細いだけではなく、女性らしい丸みもほしい。年齢を重ねても、身体のラインは変わらない方がいい。

そんなふうに、複数の人から自分が魅力的だと思う部分だけを集めて、そのすべてを自分の身体に求めていることもあります。

「細い方がきれい」
「丸みがある方が女性らしい」
「年齢を重ねても体型を維持できる人はかっこいい」

こうした複数の条件を同時に満たそうとすると、自分の身体を見る目も厳しくなります。

さらに、写真で見ているのは、その人の身体だけではありません。服装や姿勢、写真を撮る角度、その瞬間の表情まで含めて切り取られた姿です。それでも、自分と比べるときには、そうした違いが見えにくくなります。

自分が理想としているのは、実際にいる一人の体型ではなく、いくつもの魅力的な部分を組み合わせた姿なのかもしれません。自分の身体に求めている条件を細かく見ていくと、どこまでが自分の好みで、どこからが「女性ならこう見える方がいい」というイメージなのかも考えやすくなります。

親しい相手の前では、なぜ体型が気になる?

体型へのコンプレックスは、裸や下着姿を見られたり、身体に触れられたりする場面で、いつも以上に強く意識されることがあります。普段はそれほど気にならなくても、相手の前で肌を見せると、視線や反応ばかりが気になってしまう人もいます。

照明が明るすぎないか。今の姿勢で身体のラインがどう見えるか。相手の視線が、気になる部分に向いていないか。相手と触れ合っているはずなのに、自分の身体を外側から眺めるように、見え方ばかりを確認し続けてしまうのです。

そのとき、気になっているのは体型だけとは限りません。

魅力がないと思われるのが怖い。見た目について何か言われたくない。自分が欠点だと感じている部分に、相手も気づくのではないかと落ち着かない。気になる部分に触れられると、そこばかり意識してしまうこともあります。

また、相手に褒められても、その言葉を素直に受け取れない場合があります。

「気を遣っているだけ」
「本当は気になっているはず」
「私が気にしている部分に、気づいていないだけかもしれない」

自分の中では欠点としてはっきり見えているため、相手の「気にならない」「かわいいと思う」という言葉と、自分の評価がかみ合わないのです。

相手が実際にどう感じているかを、こちらが先回りして決めることはできません。一方で、自分がどのように見られ、触れられると落ち着けるのかは考えられます。

明るい場所では身体を見られたくない。気になる部分についてコメントされたくない。触れる前に声をかけてほしい。最初からすべてを見せるのではなく、自分が落ち着ける服装で過ごしたい。

こうした希望は、体型を隠すためだけのものではありません。自分の見え方ばかりを確認する時間を減らし、相手との時間や、自分が心地よいと感じることに意識を向けやすくするための工夫でもあります。

自分にとって、体型コンプレックスの「解消」とは?

窓際のハンガーラックに掛けられた生成りの服

体型コンプレックスについて調べてみると、ダイエットや筋トレ、服装の工夫、自信を持つ方法、自分の身体を好きになる方法などが見つかります。

身体を変えたいと思っていて、食事や運動を見直すことが自分の希望に合っているなら、それも選択肢のひとつです。自分に合う服や下着を探すことで、避けていたおしゃれを楽しみやすくなる人もいます。

ただ、身体が変われば、必ずコンプレックスがなくなるとは限りません。

目標の体重になっても、別の部分が気になる。以前より痩せたのに、写真に写ると気になるところばかり探してしまう。周囲と比べる基準が変わらなければ、身体を変えても負担が残る場合があります。

反対に、体型そのものは変わっていなくても、着たい服を選べるようになったり、人の視線を気にする時間が減ったりすれば、以前より困る場面が少なくなることもあります。自分にとって、体型コンプレックスが「解消した」といえるのは、どのような状態でしょうか。

  • 体重や身体のラインを変えたい
  • 気になる部分を目立たせずに服を着たい
  • 着たい服を、体型だけを理由に諦めたくない
  • 写真に写ることや、身体を見られる予定を避けたくない
  • 人の視線や評価を気にする時間を減らしたい
  • 裸で触れ合う場面でも、相手との時間に集中したい
  • 体型について言われたくないことを、相手に伝えられるようになりたい
  • 身体を好きにはなれなくても、日々の選択を体型だけで決めたくない

体重の数字を変えることと、体型を理由に予定や選択を変え続ける負担を減らすことは、同じではありません。自分が何を変えたいのかが分かれば、ダイエットだけではなく、服の選び方や人との過ごし方、相手に伝えたいことなども選択肢に入ってきます。

体型をどう変えるかだけではなく、体型を気にすることで何ができなくなっているのか。その両方を見ることで、自分が求めている変化も具体的になります。

自分の身体を好きになることだけがゴール?

体型コンプレックスとの向き合い方として、「ありのままの身体を好きになる」という考え方を目にすることがあります。

自分の身体を好意的に見られるようになれば、気持ちが楽になる人もいるでしょう。ただ、今は好きになれない部分があるのに、「まず自分が自分自身を好きにならなければ」と考えると、それ自体が新たな負担になることもあります。

体型を変えたいと思うことと、今の身体で過ごす時間を少し楽にしたいと思うことは、どちらか一方に決めるものではありません。

痩せたい気持ちはあるけれど、着たい服までずっと我慢したくない。体型は気になるけれど、そのことだけで写真や外出を避けたくない。自信はまだ持てなくても、親しい相手との時間では、自分がどう見えるかばかりを考えずに過ごしたい。

そんなふうに、身体への評価をすぐに変えなくても、体型を理由に諦めることを少し減らすことはできます。

自分が変えたいのは、体重や身体のラインなのか。人からどう見られるかへの不安なのか。それとも、体型を気にすることで避けていることを減らしたいのか。

「体型が嫌」という言葉をそこまで細かく見ていくと、自分が求めているものも分かりやすくなります。

自分の身体を好きになれるかどうかだけではなく、体型を気にしながらも、どんな服を着て、どこへ行き、誰とどのように過ごしたいのか。そこまで分けて考えることが、自分の身体と心地よく付き合うための手がかりになります。

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この記事を書いた人

都内在住のアラフォー、フリーライター。既婚。恋愛や夫婦関係、性のことなど、「自分がどう感じたか」を大事に執筆しています。ホラー映画が好き。

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